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鉄骨小梁の設計

計算機能

応力計算
与えられた荷重形から荷重項を求め、その値から設計曲げモーメントを定めますが、梁の支持形式に応じて以下の位置の値を採用します。
単純梁 : スパン中央部の正曲げモーメント
2 連梁 : 中間の支点位置に生じる負曲げモーメント
片持梁 : 基端の負曲げモーメント
変位計算
単純梁および 2 連梁の場合はスパン中央部、片持梁の場合は先端部の変位量を求めます。
断面計算
許容曲げ応力度は S 規準の (5.7) (5.8) (5.9) 式により求めます。部材が角形または円形鋼管の場合は許容引張応力度とします。
許容曲げ応力度の計算に用いる C の値は、単純梁・2 連梁については下図に示す通り、断面検定位置に座屈止めがない場合は 1.0、座屈止めがあるには同図の M1 と M2 の値から求めます。

  

片持梁の場合には、モーメントの勾配を直線と仮定して得られる M1 と M2 の値から求めます。
部材主軸が傾斜している場合、あるいは山形鋼の単一材を使用したものの計算については小社販売の「Sチャート8」のマニュアル ( 小社ウェブサイト にて公開 ) の「S小梁の設計」の項を参照してください。

入力項目

種別
「単純梁」「2 連梁」「片持梁」のいずれかとします。
L (m)
梁のスパン長
部材主軸の傾斜角 (度)
荷重の作用方向と部材の主軸方向が一致しない場合、その傾斜角をここで入力します。常に正の値で入力して下さい。山形鋼の単一材の場合、45 度の主軸傾斜は既定の値となりますので、45 度を超える傾斜がある場合に、その超過分の角度を入力します。
部材
使用出来る部材種別とその名称の一覧を下図に示します。荷重の作用方向はここにある通りで、部材の強軸回りに関する計算を行っています。



部材種別が BH・プレート・角形鋼管・円形鋼管の場合は下記の部材寸法を直接入力します。
  BH : せい × 幅 × ウェブ厚 × フランジ厚
  プレート : せい × プレート厚
  角形鋼管 : せい × 幅 × プレート厚 × 隅部r ( r は省略可 )
  円形鋼管 :直径 × プレート厚
上記以外の部材種別の場合はプログラム内であらかじめ用意された部材がコンボボックスにリストアップされますので、ここから選択してください。これを「自動設定」とした場合は、与えられた応力に対して必要な最小サイズの部材が自動的に選択されます。
荷重種別
断面計算の条件として「長期」または「短期」を選択します。
梁の自重
これが「自動計算」とされている場合、応力と変位の計算に自動計算された自重の影響を考慮します。
lb (m)
部材の許容曲げ応力度の算定時に使用される圧縮フランジの支点間距離で、単純梁の場合にはスパンの中央部、二連梁の場合には中間支点部、片持梁の場合には梁の基端部における値とします。入力がない場合は横座屈を考慮しません。
検定位置の座屈止め
単純梁の許容曲げ応力度を求めるための C の値の設定条件として、断面検定位置の座屈止めの有無を指定します。「計算機能」の説明を参照してください。
使用鋼材
SS400/SN400/SM490/SN490/SM520 のいずれかとします。
角形鋼管については BCP235/BCP325/BCR295 も使用可能です。
端部ボルト
端部のボルト本数で、単純梁の場合、設計せん断力に対するボルト耐力の検定が行われます。これを入力せずに計算を実行した場合には、与えられたせん断力の値から必要本数を計算し、この欄に出力します。
ボルトの材質は「中ボルト」「高力ボルト F8T」「高力ボルト F10T」「高力ボルト F11T」のいずれかとします。中ボルトの強度区分は 4T ( ISO規格 4.6 または 4.8 ) とします。
荷重形の入力
一般梁で 16 個、片持梁で 4 個の荷重形が用意されており、最大 3 個の荷重形を同時に指定することができます。
「荷重 1 ( 2, 3 ) 」と書かれたラベルのグループ内の 選択 をタップすると荷重形の一覧が表示されますので、いずれかを選択してください。その上で、その下にある 編集 をタップすると下のような入力画面が横にポップアップします。


必要なパラメータの入力欄が並んでいますので、所定の値を入力してください。また、この荷重が梁の両側にある場合は 両側 をチェックしてください。その上で 決定 をタップするとデータが取り込まれ、設定値が荷重形の図の下に転記されます。この入力操作を取り消したい場合はこの画面以外のどこかをタップしてください。ポップアップ画面が消えて設定値が破棄されます。
設定済みの荷重形を削除したい場合は 削除 を選んでください。

出力項目

M (kN・m)
設計曲げモーメント
Q (kN)
設計せん断力 ( 左右端のうちの大きい方の値 )
梁の自重 (kN/m)
自動計算された単位長さあたりの梁自重
fb (N/mm2)
許容曲げ応力度
検定比 M
設計曲げモーメントを許容曲げモーメントで除した値
検定比 Q
設計せん断力を端部ボルトの許容せん断力で除した値
変位量 δ (mm)
一般梁の中央部、または片持梁の先端の変位量
δ / L
変位量をスパン長で除した値