鋼材の化学成分と機械的性質 |
一般構造用圧延鋼板 溶接構造用圧延鋼板 建築構造用圧延鋼板 冷間成形角形鋼管 |
記号 | 化学成分 % | 降伏点 N/mm2 ( 板厚 t mm ) |
引張強さ N/mm2 |
降伏比 % |
|||||
C | Si | Mn | P | S | Ceq | ||||
SS400 | - | - | - | ≦ 0.05 | ≦ 0.05 | - |
≧ 245 ( t ≦ 16 ) ≧ 235 ( 16 < t ≦ 40 ) ≧ 215 ( 40 < t ≦ 100 ) ≧ 205 ( 100 < t ) |
400-510 | - |
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炭素鋼は、鉄と C ( 炭素 ) ・ Si ( 珪素 ) ・ Mn ( マンガン ) ・ P ( 燐 ) ・ S ( 硫黄 ) の合金である。 中でも最も大事なのが C ( 炭素 ) の含有量で、これが増加するほど引張り強さが上昇し、その一方、伸び能力は減少する。つまり、「硬くてもろい」ということになる。そこで、C の量を含めたすべての成分の含有量を C の含有量に換算することにより、材の「硬さ」や「溶接性」を表わすことにした。これが「炭素当量」という値で、上表中に Ceq の記号で表わされている。 |
記号 | 化学成分 % | 降伏点 N/mm2 ( 板厚 t mm ) |
引張強さ N/mm2 |
降伏比 % |
|||||
C | Si | Mn | P | S | Ceq | ||||
SM400A | ≦ 0.23 ( t ≦ 50 ) |
- | - | ≦ 0.035 | ≦ 0.035 | - |
≧ 245 ( t ≦ 16 ) ≧ 235 ( 16 < t ≦ 40 ) ≧ 215 ( 40 < t ) |
400-510 | - |
SM400B | ≦ 0.23 ( t ≦ 50 ) |
0.35 | 0.60-1.50 | ≦ 0.035 | ≦ 0.035 | - | |||
SM400C | ≦ 0.23 ( t ≦ 50 ) |
0.35 | 0.60-1.50 | ≦ 0.035 | ≦ 0.035 | - | |||
SM490A | ≦ 0.20 ( t ≦ 50 ) |
≦ 0.55 | ≦ 1.65 | ≦ 0.035 | ≦ 0.035 | - |
≧ 325 ( t ≦ 16 ) ≧ 315 ( 16 < t ≦ 40 ) ≧ 295 ( 40 < t ) |
490-610 | - |
SM490B | ≦ 0.18 ( t ≦ 50 ) |
≦ 0.55 | ≦ 1.65 | ≦ 0.035 | ≦ 0.035 | - | |||
SM490C | ≦ 0.18 ( t ≦ 60 ) |
≦ 0.55 | ≦ 1.65 | ≦ 0.035 | ≦ 0.035 | - | |||
SM520B | ≦ 0.20 ( t ≦ 50 ) |
≦ 0.55 | ≦ 1.65 | ≦ 0.035 | ≦ 0.035 | - |
≧ 365 ( t ≦ 16 ) ≧ 355 ( 16 < t ≦ 40 ) ≧ 335 ( 40 < t ) |
520-640 | - |
SM520C | ≦ 0.20 ( t ≦ 50 ) |
≦ 0.55 | ≦ 1.65 | ≦ 0.035 | ≦ 0.035 | - |
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記号の末尾にある A・B・C の記号は「シャルピー吸収エネルギー」の値により分類されたもの。これは材料の「粘り強さ」を表わす指標で、この値が大きいほど「粘り強い」ことになる。A は「規定なし」・ B は 27 ジュール ( 0℃ )・ C は 47 ジュール ( 0℃ ) である。 その試験方法は JIS に規定された「シャルピー衝撃試験」と呼ばれるもので、これは、「試験片を所定の温度 ( 例えば 0℃ ) に冷却し、ハンマで試験片を打撃して破壊させ、打撃後のハンマの振り上げ角度を読み取って試験片の破壊に費やされたエネルギーを求める」ものである。 |
記号 | 化学成分 % | 降伏点 N/mm2 ( 板厚 t mm ) |
引張強さ N/mm2 |
降伏比 % |
|||||
C | Si | Mn | P | S | Ceq | ||||
SN400A | ≦ 0.24 ( t ≦ 50 ) |
- | - | ≦ 0.050 | ≦ 0.050 | - |
≧ 235 ( t ≦ 40 ) ≧ 215 ( 40 < t ) |
400-510 | - |
SN400B | ≦ 0.20 ( t ≦ 50 ) |
≦ 0.35 | 0.60-1.40 | ≦ 0.030 | ≦ 0.015 | ≦ 0.36 |
≧ 235 ( t < 12 ) 235-355 ( 12 < t ≦ 40 ) 215-335 ( 40 < t ) |
400-510 | - |
SN400C | ≦ 80 | ||||||||
SN490B | ≦ 0.18 ( t ≦ 50 ) |
≦ 0.55 | ≦ 1.60 | ≦ 0.030 | ≦ 0.015 | ≦ 0.44 ( t ≦ 40 ) |
≧ 325 ( t < 12 ) 325-445 ( 12 < t ≦ 40 ) 295-415 ( 40 < t ) |
490-610 | - |
SN400C | ≦ 0.020 | ≦ 0.008 | ≦ 80 |
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SN400A は一般構造用の SS400 に相当するもので、さほど高い溶接性を要求されない小梁などの二次部材に主として使用される。 一方、SN490 は溶接構造用の SM490 材に相当するものだが、この末尾にある A・B・C の記号は SM 材とは異なるもので、使用目的によって使い分けることになっている。 A はさほど高い溶接性を期待しなくてよいもの、B は一定の溶接性を要求される主要構造材、C はさらに高い溶接性を要求される厚板に対して使用する。 |
記号 | 化学成分 % | 降伏点 N/mm2 ( 板厚 t mm ) |
引張強さ N/mm2 |
降伏比 % |
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C | Si | Mn | P | S | Ceq | ||||
BCR295 | ≦ 0.20 | ≦ 0.35 | ≦ 1.40 | ≦ 0.03 | ≦ 0.015 | ≦ 0.36 |
≧ 295 ( 6 ≦ t < 12 ) 295-445 ( 12 ≦ t ) |
400-550 |
≦ 90 ( 12 ≦ t ) |
BCP235 | ≦ 0.20 | ≦ 0.35 | 0.60-1.40 | ≦ 0.03 | ≦ 0.015 | ≦ 0.36 |
≧ 235 ( 6 ≦ t < 12 ) 235-355 ( 12 ≦ t ) |
400-510 |
≦ 80 ( 12 ≦ t ) |
BCP325 | ≦ 0.18 | ≦ 0.55 | ≦ 1.60 | ≦ 0.03 | ≦ 0.015 | ≦ 0.44 |
≧ 325 ( 6 ≦ t < 12 ) 325-445 ( 12 ≦ t ) |
490-610 |
≦ 80 ( 12 ≦ t ) |
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上表では省略したが、冷間成形角形鋼管では、その化学成分として、C ・ Si ・ Mn ・ P ・ S のほかに N ( 窒素 ) についても規定している。これは、冷間加工により生じる時効硬化 ( 時間経過とともに材料がもろくなる ) という現象が窒素の含有量に関係するためである。 上表にある BCR 材 ( ロール成形用 ) は建築構造用鋼板の B 種に相当する材料を使用している。 BCP 材 ( プレス成形用 ) については B 種及び C 種の二つの材料があるが、上表では、より一般的な B 種のものについて示した。 |