鉄骨造の計算ルートのまとめ

2025 年 4 月の法令改正により、鉄骨造に「ルート 1-3」という新たな計算ルートが設けられました。法令の条文だけでは何がなんだかよく分かりませんが、6 月に「2025年版 建築物の構造関係技術基準解説書」が刊行されたあたりから周知が進むものと思われます。
未見ながら、おそらく同書には 2020 年と同様のフローチャートが掲載されるはずですが、この「フローチャート」というのが苦手な人は多いはずです ( そもそもこれ以外の場所で見かけることが非常に少ない ) 。そこで同書の刊行に先立ち、鉄骨造全般の計算ルートを表形式にまとめたものを作ってみました。
縦列は計算ルート ( ルート 3 は除外 ) ・横列は適用の制限あるいは検討項目です。表中の - は制限がない、あるいは検討が不要であることをあらわします。

ルート 1 - 1 ルート 1 - 2 ルート 1 - 3 ルート 2
地上階数 3 以下 2 以下 3 以下
建物の高さ 13m 以下 13m 以下 16m 以下 31m 以下
軒高 9m 以下 9m 以下
スパン長 6m 以下 12m 以下 6m 以下
延床面積 500m2 以下 500m2 以下 ( 注1 500m2 以下
標準層せん断力
係数 C0
0.3 以上 0.3 以上 0.3 以上 0.2 以上
層間変形角 1 / 200 以下 1 / 200 以下
剛性率 Rs 0.6 以上
偏心率 Re 0.15 以下 0.15 以下 0.15 以下
ブレースの負担率
による応力割増し
行う 行う
柱 / 梁の幅厚比 柱 FA / 梁 FA 柱 FA / 梁 FC ( 注2 柱 FA / 梁 FA
冷間成形角形鋼管の応力割増し 行う 行う 行う 行う
接合部の破断防止 行う 行う 行う 行う
柱脚の破断防止 行う 行う 行う

注 1 ) 平屋の場合は 3000m2 以下
注 2 ) ふつう、計算ルートは上位のものほど要求する性能が高くなるものだが、梁の部材ランクについてはルート 1-2 の FA に対し、1-3 では FC に下がっている。これはルート 1-3 が軽量形鋼造 ( 薄板軽量形鋼造 ) を対象にしたものであることから来ている。